2010年12月8日水曜日

胃がん撲滅プロジェクト ABC検診

もうクリスマスまで3週間をきりましたね。

今回は11月の週末参加した講演会の報告をさせていただきます。

ABC検診という胃に関する検診の方法が従来のバリウムを使った胃がんの検診の方法から置き換わろうとしております。(なかなかそのみちは険しいようですが)

http://news.livedoor.com/article/detail/3965684/

内容についてかんたんに解説させていただきますと、
その1/ピロリ菌という感染症が胃がんと大きな関わりをもつこと。(感染したことのないひとからはほとんど胃がんが発生しない)
その2/ピロリ菌の感染の有無を調べることで、胃がんに罹患する危険性を予想することができます。ただ、問題なのは胃炎がかなり進行した状態になると、ピロリ菌が身体から消える現象がみられるのです。そういう状態が胃がんに罹患する危険性がかえって高まった状態とされています。
その3/ペプシノーゲン法という胃炎の状態を調べる方法とピロリ菌感染の有無をチェック方法、その2種の組み合わせをつくり(AからDの4種)胃がんに罹患する危険性を層別化するのが、ABC検診です。
その4/危険性が高いひとのみ胃内視鏡検査(B〜D)を受けていただき、危険性の低いひと(A)は内視鏡検査は必要ないと判断します。こうすることにより、全体の4-5割程度の方(A)が更なる内視鏡検査に必要性がなくなります(胃がんに罹患する可能性がほとんどない)。
その5/バリウムによる検診に較べ、費用としては安価に危険性の高いひとを抽出できるのが、この検診の特徴なのです。
その6/ただ実際の運用上の問題点としては、内視鏡検査を必要と判断されたひと(B〜D)の5割程度のひとしか、内視鏡検査を受けてもらえてないそうです。(ABC検診を受けたままにし、肝腎の精密検査を受けない)

NPO法人「日本胃がん予知・診断・治療研究機構」というものをつくられて、普及につとめられております。高崎市や京都の伏見区では、実際検診として運用が開始されております。

http://takasaki.gunma.med.or.jp/kenkoujyouhou/igankensin.html
http://knowingcancer.sukoyakaan.com/2010/09/post-75.html

普段、胃内視鏡検査を行っている医療者の立場から個人的な意見を言わせていただきますと、現在の胃がん検診の問題点は受診率の低さや、それにかかる費用の問題があり、検診として機能しているかというと、充分満足な結果が得られているとは言い難い状況にあります。

現在、毎年胃がんで亡くなられる方は5万人いると言われており、その率はさがっていないそうです。

胃がんをピロリ菌感染という感染症としてとらえ、それに対する対策を立てるという方向で、検診も組み立て直すことが必要な時期に来ているようです。




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