2012年7月23日月曜日

50/50 映画の私見です。

こんばんは。 昨日久しぶりに映画をダウンロードして鑑賞しました。
50/50 フィフテフィフティっていう、コメディです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/50/50_%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%86%E3%82%A3_(2011%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
http://eiga.com/extra/konishi/149/
実話に基づくはなしなんだそうですが、シアトルに住む27歳のラジオ局に勤める青年が、ある日突然脊髄の悪性腫瘍に犯され、5年生存率が50パーセントと宣告を受ける(五分五分、フィフテフィフティ)はなしです。
医療に関わる題材は、どうしても厳し目に見てしまうのですが、この作品はなかなか良くできた作品だと思いました。
悪性腫瘍と宣告されたときの主人公の反応や、病院の医師が事務的に悪性腫瘍の宣告をする様子、セラピストが何とか主人公に安らぎを感じるよう努力するのですが、なかなかうまくいかないさまなど、実体験がないとなかなか再現できない場面をうまく描いていると思いました。
全体のストーリー展開はラブコメィですが、お母さんがアルツハイマーのお父さんの介護をずっとしていたり(日本では福祉が介入していてもおかしくなさそうなんですが、劇中お母さんがずっと介護してました)、病院に心理療法士(博士過程といってました)が常駐していることなど、日本は介護関係が急速に進化しているのに対して、医療は相変わらず少ない人材で対応しているのかなと感じました。
最後に、劇中でもさかんに癌(cancer)ということばが使われてましたが、あえて今まで使わなかった理由を記して終わらせていただきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E6%80%A7%E8%85%AB%E7%98%8D

主人公がシュワンノーマに罹っていると劇中でいってましたが、シュワンノーマは悪性腫瘍である場合はあるようですが、分類上癌という範疇には入らない疾患です。フィフテフィフティという時点で、主人公のシュワンノーマが悪性腫瘍であるといっているようなものなんです。主人公がシュワンノーマのことをがんといわずに悪性腫瘍とか言っていたら、かえって何か回りくどくなってしまいますね。


テーマは明るくないのですが、泣いたり、笑ったりできる良い映画でした。


セラピストと主人公







2012年7月17日火曜日

いじめについて

連休終わりましたね。皆さん、山へ海へ向かわれたとおもいますが、いかがでしたか?
急に暑くなって、熱中症の出やすいシーズンになりましたね。
無理をしない。水分摂取に留意する。夏バテかなとおもったら、塩分、糖分も普段より摂るようにする等など、気をつけてお過ごしくださいね。

いじめの事件についての報道が連日入ってきますが、皆さんのお考えはいかがですが。
いじめ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81
子供の社会にとどまらず、大人の社会にもみられるようですね。
集団の中で異質と認識されたものを排除しようとする働き。
人間の性質として誰もがもっているもののようにも思います。
いじめる側をどのようにみつけ、その衝動をコントロールするか。
なかなかうまい解決法が見つけられていないのが現状でしょうか。
私の好きなテレビドラマの「glee」にもいじめの問題は常にとりあげられています。
ゲイ、レズビアン、マイノリテイ、障害者など、いじめの対象となる主人公たちは、歌でそのいじめを克服していく姿をみせてくれます。また、いじめる側も苦悩を抱えていたり、いじめる側がすぐにいじめられる側にまわったりする、子供の社会らしい一面も見せてくれます。

ちょうど、インターネットで知り合った先生がブログでいじめのことを取り上げられていたので、紹介させていただきます。
http://blog.livedoor.jp/colorectan/archives/51867099.html

今回の事件をきっかけに、責任の所在がどこにあるか探すより、社会全体でどう防いでいくか考えて行きたいものです。


プチトマト実ってきました。

2012年7月2日月曜日

胃がん撲滅プロジェクト6 ピロリ学会2012 その1 ABC検査の問題

出張から戻ってきました。ピロリ学会という、消化器関係の学会です。いろいろな知見が集積されてきたようで、胃がん撲滅に向かって大きな一歩が踏み出されそうな雰囲気です。

以前にも書かせていただきましたが、胃がん撲滅の重要な一歩はピロリ菌感染に対する認識の問題です。残念ながら大人になってからのピロリ菌の除菌治療は胃がんのリスクをゼロにすることは難しいようです。ただ、リスクを減らす働きがあることには違いありません。

ABC胃炎検査の問題

ピロリ菌感染と胃炎の状態(胃がんの発生の確率の高まる状態にあるかどうか)を調べる2種類の検査を有り無しで分け、その組み合わせ4種(A-D)で胃炎の状態を評価し胃がんに対するリスクを推定する検査法です。すでに検診に導入している自治体や健保組合も増えているようで、その大部分においては有用な検査と考えております。

ピロリ菌感染の確認や胃炎の状態の評価としてのペプシノーゲン検査というのが一筋縄で行かないところがあり、運用上の問題点がいくつかみられました。


まずA群ですが、これはピロリ菌陰性、ペプシノーゲン陰性の最もリスクの低い群で、一般的には内視鏡検査も必要ないだろうという群です。


内視鏡的に治療された胃腫瘍例で調べると、全体の10%程度のA群に相当する症例がみられたという報告です。内容をよく検討するとそのほとんどがピロリ菌の既感染例だったということでした。除菌例以外に既感染という集団がいるということを認識しないといけないということです。また、ピロリ菌未感染の胃がんはこのA群に相当する症例の10%程度だったということでした。


次にD群に関する報告です。D群は胃炎が進行した状態で、ピロリ菌が生存する環境がなくなった状態で、ピロリ菌陰性、ペプシノーゲン陽性の群で胃がんの発生するリスクが最も高い群とされています。
http://www.gastro-health-now.org/ABCExamWhat.htm
この群についてよく調べてみると、いろいろな病気の状態が混在した状態だったという報告です。一つは陰性と思っていたピロリ菌が実際は検査の偽陰性でピロリ菌による胃炎を起こしていたというのが全体の4割程度みられたようです。(正確にはC群に相当)また、この群の2割程度にA型胃炎という自己免疫性の特殊な胃炎が含まれ、10数パーセントがピロリ菌未感染例で、本来生存する環境がなくなったとされる自然消退例は最も少数だったという、ややショッキングなもので、D群の取り扱いは慎重を期するようにとの結論でした。個人的にはDと分かった時点で、専門医に紹介して調べてもらうというのが妥当かと思われました。


こういったことから、ABC検査についてはまだまだ詰めて行かないといけないところはあるようです。


ペプシノーゲン検査は保険診療の範囲では調べることができません。ピロリ菌の検査でさえ、いろいろな要件をクリアして初めて保険診療で調べることができます。


いずれも費用的には比較的安価な検査にはいるとおもいます。


ピロリ菌について理解を深めていただくための啓蒙活動としてABC検査があっても良いのではと考えました。

阪急洛西口駅の高架化どんどん進んでますね
くどいですが、ターゲットは胃がんではなくて、ピロリ菌です。胃がん撲滅はその結果です。