2011年4月4日月曜日

胃がん撲滅プロジェクト2 その問題点

4月になりました。桜の開花も始まっていますが、まだまだ寒いですね。

関東東北大震災に被災されている方々に心からお見舞い申し上げます。

今日はピロリ菌の話の続きです。

先日 胃がん精密検査の認定医療機関の更新のための講習会に参加してきました。

胃がん検診の精密検査は内視鏡検査ですが、胃がん検診自体は何十年も前から続いている胃透視の検査です。


現在の胃がん検診の問題点は、実際の臨床において、胃がんのスクリーニング検査が胃内視鏡になっており、胃透視を扱うひとがどんどん減っており、今後検診を維持するのが難しい状況となる可能性が高いことです。また、胃がん検診自体の受診率が低く、検診として適当かどうか再検討しないといけない時期にきていることです。他方で、ピロリ菌という胃がんの大きな原因となる菌が発見されたことにより、ピロリ菌を考慮した内容を組み込むことで、検診が効率化される可能性があることです。

講師の方が質疑応答のなかで話されていましたが、全体の認識としては胃がんの調整死亡率が年々さがってきており、現在の検診を続けていけば良いのではとの認識でした。
ABC検診によって得られるメリットが不明なため、データのない現在においては、対策型の検診とするのは不適当だということのようです。 



先日あった、参議院での質問に対する答弁も同様の内容だったようです。


http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/177/touh/t177056.htm
http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/c0fa51a7b1816eeb773acd337




ただ、これは臨床に携わるものの見方からは大分乖離があるようです。

ピロリ菌自体は胃がんの原因となる菌であることは、現在では誰もが認めるところです。
エビデンスがないということを理由に、それを無視した検診を続けて良いのかという反論もできるかと思います。

細かい話はここでは割愛させていただきますが、実際に検診を行ううえでの方法論は難しいところもあるかとは思います。


ただ、私が期待していたのは、胃がんの原因のほとんどがピロリ菌による感染症で、それに対する国家的なプロジェクトを組むという大見得を菅さんにでも切って欲しかったのです。

ピロリ菌については、まだまだわかっていないことがたくさんあるようです。


日本は先進国の中でも胃がんの多い国です。また、途上国では胃がんに苦しむ方はまだまだ多いです。


外科手術、内視鏡治療、化学療法、日本の胃がん治療は進んでおります。


胃がん検診も海外にはないものですが、胸を張って海外に広めていけるものにしたいものです。

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